全国算命价格联盟

【霓虹之声】·【原汁原味·日文名著】·怪人二十面相(2)

楼主:霓虹之声 时间:2020-11-28 14:43:51


怪人二十面相

鉄のわな(铁夹子)


   麻布(あざぶ)の、とあるやしき町に、百メートル四方もあるような大邸宅があります。四メートルぐらいもありそうな、高い高いコンクリート塀が、ズーっと、目もはるかに続いています。いかめしい鉄の扉の門入ると、大きなソテツが、ドッカリと植わっていて、その茂った葉の向こうに、立派な玄関が見えています。いく間とも知れぬ、広い日本建てと、黄色い化粧れんがをはりつめた、二階建ての大きな洋館とが、かぎの手に並んでいて、その裏には、公園のように、広くて美しいお庭があるのです。

   在麻布区①的一条高级住宅区的街道上,有一所漂亮的别墅。差不多有4米左右高的混凝土墙,一直延伸得很远。一进那颇有气派的铁门,眼前就是密排着的大棵的凤尾松。隔着那茂密的枝叶,看得见富丽堂皇的正门。不知从什么时候起,宽敞的日本建筑和铺满黄色装饰砖的二层褛的高大洋房,排列成钩状形。房后有宛如公园似的宽广而美丽的庭院。

 これは、実業界の大立者(おおだてもの)、羽柴(はしば)壮太郎氏の邸宅です。

    这是实业界要人一一羽柴壮太郎的别墅。

 羽柴家には、今、非常な喜びと、非常な恐怖とが、織(お)り交(ま)ざるようにして、襲い掛かっていました。

   羽柴家现在遇到一件可喜可贺的事和一件异常恐饰的事。


   喜びというのは、今から十年以前に家出をした、長男の壮一君が、南洋のボルネオ島から、お父さんにお詫びをするために、日本へ帰ってくることでした。

   说到喜事,那是10年前离开家的长子壮一,为了向父亲赔罪,就要从南洋加里曼丹回日本来了。

 壮一君が生来(せいらい)の冒険児で、中学校を卒業すると、学友と二人で、南洋の新天地に渡航(とこう)し、何か壮快な事業を起こしたいと願ったのですが、父の壮太郎氏は、がんとしてそれを許さなかったので、とうとう、無断で家を飛びだし、小さな帆船(はんせん)に便乗して、南洋に渡ったのでした。 それから十年間、壮一君からはまったく何の便りもなく、行方さえわからなかったのですが、つい三か月ほど前、突然、ボルネオ島のサンダカンから手紙をよこして、やっと一人前の男になったから、お父様にお詫びに帰りたい、と言ってきたのです。

    壮一从小喜欢冒险,中学毕业时,和一个同学打算渡海去南洋,在那个新天地里干出一番辉煌的事业来。但因为父亲壮太郎坚决反对,他擅自出走,搭乘小帆船下了甫洋。而后10年间,音信杳无,去向不明。可是,就在大约3个月前,忽然从加里曼丹的山打根③寄来一封信,说他好容易长大成人了,想回来向父亲道歉。

 壮一君は現在では、サンダカン付近に大きなゴム植林を営(いとな)んでいて、手紙には、そのゴムリンの写真と、壮一君の最近の写真とが、同封してありました。もう三十歳です。鼻下(びか)にきどったひげをはやして、立派な大人になっていました。

   壮一现正在山打裉附近经营一座大橡胶园。信中还寄来了那个橡胶林的照片和壮一的近照。他已经30岁了,鼻下蓄着挺神气的小胡须,成了一个体面健壮的男子汉。

 お父様も、お母様も、妹の早苗さんも、まだ小学生の弟の壮二君も、大喜びでした。下関(しものせき)で船を降りて、飛行機で帰ってくるというので、その日が待ち遠しくて仕方がありません。

    父亲、母亲、妹妹早苗,还有正上小学的弟弟壮二,全都眉开眼笑。听说壮一要在下关下船,乘飞机回来,一家人都眼巴巴地盼望着这一天的到来。

 さて、一方羽柴(はしば)家を襲った、非常な恐怖といいますのは、ほかならぬ「二十面相」の恐ろしい予告状です。

   另一方面,使羽柴家心惊肉跳的是收到了“二十面相”的可怕的“通知书”。

   予告状の文面は、「余がいかなる人物であるかは、貴下も新聞紙上にてご承知であろう。貴下は、かつてロマノフ王家(おうけ)の宝冠(ほうかん)を飾りし大ダイヤモンド六個を貴家(きか)の家宝(かほう)として、珍蔵(ちんぞう)せられると確聞(かくぶん)する。余はこのたび、右六個のダイヤモンドを、貴下より無償(むしょう)にて譲り受ける決心をした。近日中に頂戴に参上するつもりである。正確な日時はおってご通知する。ずいぶんご用心なさるがよかろう。」というので、終わりに「二十面相」と署名してありました。

那通知书的内容是:

鄙人系何许人,阁下大概从报纸上有所了解。

确闻阁下将罗曼诺夫王室②的皇冠装饰物——六颗大钻石,作为贵府的家宝珍藏。

鄙人已决心无偿接受阁下的六颗钻石。拟近日内登门造访。确切时日,随后通知。

敬请严加防范。

末尾署名是“二十面相”。

 そのダイヤモンドというのは、ロシアの帝政没落(ていせいぼつらく)ののち、ある白系ロシア人が、旧ロマノフ家の宝冠(ほうかん)を手に入れて、飾りの宝石だけを取り外し、それを中国商人(しょうにん)に売り渡したのが、まわりまわって、日本の羽柴氏に買い取られたもので、価(あたい)にして二百万円という、貴重な宝物(ほうもつ)でした。その六個の宝石は、げんに、壮太郎氏の書斎(しょさい)の金庫(きんこ)の中に納まっているのですが、怪盗はそのありかまで、ちゃんと知り抜いているような文面です。

   所谓“六颗钴石”,是俄国帝政衰败之后,一个白俄梦斯人,把老罗曼诺夫家的宝冠弄到手,从宝冠上摘下的装饰宝石。后来,宝冠卖给了中国商人。几经辗转,宝石被日本的羽柴氏买来。这是价值2百万日元的贵重宝物,现今收藏在壮太郎的书房的保检柜内.从那份“通知书”看来,那怪盗对宝石藏在哪里了如指掌。 

 その予告状を受け取ると、主人の壮太郎氏は、さすがに顔色も変えませんでしたが、夫人をはじめ、お嬢さんも、召使(めしつか)いなどまでが、震えあがってしまいました。

   接到“通知书”后,作为一家之主的壮太郎仍然镇定自若。可是,夫人、小姐、甚至佣人,一个个全都吓得发抖。

 ことに羽柴家の支配人(しはいにん)近藤老人(こんどうろうじん)は、主家(しゅけ)の一大事とばかりに、騒ぎ立てて、警察へ出頭(しゅっとう)して、保護を願うやら、新しく、猛犬(もうけん)を買い入れるやら、あらゆる手段をめぐらして、賊の襲来に備えました。

   特别是羽柴家的管家近藤老人,只因这是主人家的一件重大事件,他四处奔走张罗。先是向警察报案,请求保护;又买进凶猛的看家狗,总之,采取各种手段,以防盗贼的来临。

   羽柴家の近所は、おまわりさんの一家が住んでおりましたが、近藤支配人は、そのおまわりさんに頼んで、非番(ひばん)の友達を交代に呼んでもらい、いつも邸内には、二―三人のお回りさんが、頑張っていてくれるように計らいました。

   羽柴家附近,住着一位警察。近藤总管拜托那警察轮流请来不值班的警察朋友。平时,由两三名警察在别墅内负责警戒。

 そのうえ壮太郎氏の秘書が三人おります。おまわりさんと、秘書と、猛犬と、この厳重な防備(ぼうび)の中へ、いくら「二十面相」の怪賊にもせよ、忍び込むなんて、思いもよらぬことでしょう。

   除此而外,在本族内,还有三个身强力壮的书生。在有警察、书生以及猛犬的严密戒备中,无论什么样的“二十面相”怪盗,也休想潜入进来。

 それにしても、待たれるのは、長男壮一君の帰宅でした。徒手空拳、南洋の島へ押し渡って、今日の成功をおさめたほどの快男児ですから、この人さえ帰ってくれたら、家内のものは、どんなに心丈夫だかしれません。

   尽管如此,他们还是兴高釆烈地盼望长子壮一的归来。他赤手空拳渡海去南洋,而今获得了成功,成了了不起的男子汉。一旦这游子还乡,全家老少不光非常喜悦,而且也胆壮起来了。

 さて、その壮一君が、羽田空港へ着くという日の早朝(そうちょう)のことです。

 あかあかと秋の朝日が射している、羽柴家の土蔵(どぞう)の中から、一人の少年が、姿を現しました。小学生の壮二君です。

   壮一到达羽田机场②的那天早晨,秋日的朝阳照射着羽柴家的仓库,一会儿,从里面走出一位少年,他就是小学生壮二。

 まだ朝食の用意もできない早朝ですから、邸内はひっそりと静まりかえっていました。早起きのすずめだけが、威勢よく、庭木(にわき)の枝や、土蔵の屋根でさえずっています。

   这天清晨,早餐尚未备妥。宅内一片寂静。只有早起的麻雀,神气地在庭院的树枝上、仓库的房顶上跳跃着,不时发出几声欢快的鸣叫。

   その早朝、壮二君がタオルのねまき姿で、しかも両手には、何か恐ろしげな、鉄製の器械のようなものを抱いて、土蔵の石段(いしだん)を庭へ降りてきたのです。いったい、どうしたというのでしょう。驚いたのはすずめばかりではありません。

   早上,壮二虽然还穿着毛巾睡衣,两手却抱着一件挺吓人的铁家伙,从仓库的台阶上,走到院里来。那样子甚至连麻雀都感到惊恐而飞走了。他在干什么呢?

 壮二君はゆうべ、恐ろしい夢を見ました。「二十面相」の賊が、どこからか洋館の二階の書斎へ忍び入り、宝物(ほうもつ)を奪い去った夢です。

   原来,昨晚壮二作了一场恶梦。他梦见盗贼“二十面相",不知道从何处,偷偷潜入了洋房二楼的书房,盗走了宝石。

 賊は、お父様の居間にかけてあるお能の面のように、不気味に青ざめた、無表情な顔をしてました。そいつが、宝物を盗むと、いきなり「ワッ。」といって目が覚めると、それは幸いにも夢でした。しかし、なんだか夢と同じことが起こりそうな気がしてしかたがありません。「二十面相のやつは、きっと、あの窓から、飛び降りるに違いない。そして、庭を横切って逃げるに違いない。」 壮二君は、そんな風に信じ込んでしまいました。

   那贼露出一副可怕的面孔,就象挂在父亲卧室里的假面具那样,苍白而毫无表情。那家伙盗走宝石后,很快打开二楼的窗户,向漆黑的庭院跳了下去。壮二“啊!”的一声惊醒了。幸好只是一场梦。可是,他始终预感到这恶梦般的事就要发生了。“‘二十面相’那家伙,一定会从那个窗子跳下去。而且,肯定会穿过庭院逃走。”壮二完全确信自己的这种推断。

 「あの窓の下には花壇がある。花壇が踏みあれされるだろうなあ。」

 そこまで空想したとき、壮二君の頭に、ヒョイと奇妙な考えが浮かびました。

 「ウン、そうだ。こいつは名案だ。あの花壇の中へわなを仕掛けておいてやろう。もし、僕の思っている通りのことが起こるとしたら、賊は、あの階段を横切るに違いない。そこに、罠を仕掛けておけば、賊のやつ、うまくかかるかもしれないぞ。」

   “那窗子下面是花坛。花坛可能被踩得乱七八糟。”

   当他想到这儿,脑海里忽然浮现出一个奇妙的念头,

   “对!这是好办法。我在花坛里给他安上一个铁夹子。假如我梦见的那种事发生,那贼肯定要穿越花坛逃走。要是在那儿安下铁夹子,说不定那小子会束手就擒哩。”

 壮二君が思いついた罠というのは、去年でしたか、お父様の友達で、山林を経営している人が、鉄の罠を作らせたいといって、アメリカ製の見本を持ってきたことがあって、それがそのまま土蔵にしまってあるのを、よく覚えていたからです。

   壮二之所以想到这个铁夹子,是因为他还清楚地记得,大概就是去年,父亲的一位朋友,是经营山林的,想请父亲给他制作铁夹子。为此,曾拿来过美国造的货样。这副夹子至今仍收藏在仓库里。

 壮二君は、その思いつきに夢中になってしまいました。広い庭の中に、一つぐらい罠を仕掛けておいたところで、はたして賊がそれにかかるかどうか。疑わしい話ですが、そんなことを考える余裕はありません。ただもう、無性(むしょう)に罠を仕掛けてみたくなったのです。そこで、いつにない早起きをして、ソッと土蔵に忍び込んで、大きな鉄の道具をエッチラオッチラ持ち出したというわけなのです。

   壮二对想出的主意,产生了极大的兴趣。在这宽阔的庭院内,安一副夹子,究竟能否夹住盗贼,不敢肯定,但已经没有过多考虑的必要了。他只不过想碰碰运气罢了。

因此,他破例早起,偷偷溜进仓库,把那大铁家伙吃力地搬了出来。

 壮二君は、いつか一度経験した、ネズミ捕りをかけたときの、なんだかわくわくするような、愉快な気持ちを思い出しました。しかし、今度は、相手がネズミではなくて人間なのです。しかも「二十面相」という希代(きだい)の怪賊なのです。わくわくする気持ちは、ネズミの場合は、十倍も二十倍も大きいものでした。

   壮二想起以前他在安装捕鼠器时,曾经有过的那种期待成功的兴奋而愉快的心情。伹这次毕竟不同,对手已不是老鼠而是人了。并且,是“二十面相”这个罕见的怪盗。因此,他的兴奋心情,比起上次捕捉老鼠来,大了十倍二十倍。

 鉄わなを花壇の真ん中まで運ぶと、大きなこぎりめのついた二つの枠を力いっぱいぐっと開いて、うまく据え付けたうえ、わなと見えないように、その辺の枯れ草を集めて、覆い隠しました。

   壮二把铁夹子搬到花坛正中,用力把装有大银齿的两个夹框打开,牢牢地安放好后,又把两旁的枯草收集过来,盖到夹子上伪装起来,使人无法察觉。

   もし賊がこの中へ足をふみいれたら、ネズミ捕りと同じ具合に、たちまちパチンと両方のこぎり目が合わさって、まるで真っ黒な、でっかい猛獣の歯のように、賊の足首に、くいいってしまうのです。家の人が罠にかかっては大変ですが、花壇の真ん中ですから、賊でもなければ、めったにそんなところへ踏み込むものはありません。

   一旦盗贼的脚踏进夹子里,这铁家伙就象捕鼠器一样,两面的锯齿立刻“喀嚓”一声扣拢,如同又大又黑的猛兽的尖利牙齿,紧紧咬住那贼的脚脖子。要是家里的人碰上这夹子圈套,那可不得了。不过,那是安放在花坛正中的,如果不是盗贼,很少有人会踏进那地方去的。

 「これでよしと。でも、うまくいくかしら。万一、賊がこいつに足首を挟まれて、動けなくなったら、さぞ愉快だろうなあ。どうか甘くいってくれますように。」

   “这可好了。不过能起作用吗?万一盗贼的脚脖子被这玩艺儿挟住,不能动弹,那情景必定叫人非常痛快。但愿一切如意。”

 壮二君は、神様にお祈りするような格好をして、それから、にやにや笑いながら、家の中へ入っていきました。実に子供らしい思いつきでした。しかし、少年の直感というものは、決してバカにできません。壮二君の仕掛けた罠が、のちに至って、どんな重大な役目を果たすことになるか、読者諸君は、この罠のことを、よく記憶しておいていただきたいのです。

   壮二作出求抻保佑的姿势,独自暗笑着,回到房里去了。

   确实是孩子气的想法。不过,孩子的直觉决非愚蠹。壮二所埋伏的夹子,到后来究竟会发挥什么样的大作用呢。各位读者,希望你们好好地记住这个埋伏的事情。

朗读:The one

作者:江户川乱步

译者:译文摘自网络(不详)

朋友 图片 表情 草稿箱
请遵守社区公约言论规则,不得违反国家法律法规